エリクソンの「発達段階理論」!子育て中の心理士が発達段階理論を経験を交えながら詳しく解説!

エリクソンの発達段階理論を解説

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この記事では、

年齢別の子どもの心理と接し方

について詳しく説明していきます。

子育ての悩みは、子どもがいくつになっても尽きませんよね?

子どもは成長とともに、少しずつ心理面が変化していき、親はその変化を理解して、その年齢に合わせて接していくことが子どもの心の成長のために大切です。

人を理解するためには、いろいろな知識を身に付けることが望ましいですが、人が生まれてから成長して老化していくまでの「発達」の視点でとらえることもとても重要です。

ゆう

その際に役に立つのが、エリクソンの「発達段階理論」の考え方です。

そこで、今回は、

  • エリクソンの発達段階理論って何?
  • 子どもの成長に合わせた接し方を教えて!
  • 親自身の心の発達における課題を知りたい!

といった疑問や悩みに答えていきます。

人を発達の段階別に理解するという視点はとても重要です。

子育てて悩む人にとっては、非常に役に立つ知識になりますので、是非参考にしてください。

目次

発達段階理論とは

E.H.エリクソンは、人をライフサイクルの視点から、人間の精神的な発達や人格的な発達は、生涯を通じてのテーマであると考えました。

そして、人生の時期を8つの段階に分けて、それぞれの発達段階には、その時期に重要な「発達課題」があるとしました。

各発達段階には、発達課題に合わせて、「心理社会的危機」があると考えられています。

心理社会的危機とは、危険とか危ないとかという意味ではなく、次の段階に移行できるか、むしろ戻ってしまうか、横道にそれてしまうかという分岐点という意味で用いられています。

ゆう

「発達課題」は乗り越えるべき課題で、「心理社会的危機」はその課題に乗り越えられないときに生じる悩みとか問題とかという意味です。

エリクソンは、8つの発達段階の中で、特に青年期の重要性を強調しています。

この記事についても、青年期について詳しく説明していきます。

この理論は、今でも心理相談の分野では必須の知識ですし、特に子育てをするに当たってはとても役に立ちます。

ただし、この理論が確立されたのは70年くらい前になりますので、その頃と今では子供の発達の時期も異なっています。

特に年齢については、個人差も大きいので、参考程度に考えてください。

発達段階発達課題と心理社会的危機
Ⅰ:乳児期基本的信頼vs不信
Ⅱ:幼児前期自律性vs恥・疑惑
Ⅲ:乳児後期積極性vs罪悪感
Ⅳ:児童期勤勉性vs劣等感
Ⅴ:青年期アイディンティティvsアイデンティティ拡散
Ⅵ:成人前期親密性vs孤立
Ⅶ:成人後期生殖性vs停滞性
Ⅷ:老年期統合vs絶望

なお、8つの段階について、翻訳の違いで表現が若干異なることがありますが、内容は変わりませんので安心してください。

乳児期

乳児期

【乳児期】
0歳~1歳半
【発達課題と心理社会的危機】
基本的信頼 対 不信

この時期で、一番大切な課題とは、「基本的信頼」を獲得することです。

生まれたての赤ちゃんは、一人では何もすることができず、お腹が空いたら泣いておっぱいをもらって、お尻が気持ち悪くなったら泣くことでお尻を拭いておむつを替えてもらって、寂しくなったら抱っこしてもらって、自分の欲求を満たしていきます。

多くの場合が、その役割を担うのは母親でしょう。

母親に自分の欲求を満たしてもらう、自分の望みに応えてもらうという経験を通じて、「自分が困ったら助けてもらえる」という信念や価値観が備わっていきます。

それが「基本的信頼」の獲得につながっていきます。

一方で、赤ちゃんが泣いても何もしてもらえないとか、自分の思うように助けてもらえないといった状況が続いたらどうなるでしょうか。

おそらく、その子は「自分が困ってもだれも助けてくれない」と感じて、他者を信頼することはできず、むしろ「不信感」を抱くようになるでしょう。

ゆう

基本的信頼は、その後の子どもの成長において、人間関係を築く上で非常に重要な役割を果たします。

他人を信じるということができなければ、当然良好で安定した人間関係を築いたり継続したりすることはできません。

親としては、この時期の赤ちゃんの世話をするのはとても大変ですが、人間関係の基本を育てるためにも重要な時期と言えます。

私自身も、子どもたちが乳児期だった頃は、子どもが毎晩のように夜泣きをしていたため、心身共に疲弊しました。

それでも、「子どもの欲求を満たしてあげることが大切なんだ。」という気持ちを持って、妻と協力して乗り越えました。

幼児前期

幼児前期

【幼児前期】
およそ1歳半~3歳
【発達課題と心理社会的危機】
自律性 対 恥・疑惑

この時期で、一番大切なことは「自律性」を身に付けることです。

赤ちゃんは、自分の欲求を満たすために泣いて親に世話をしてもらったり、好きなこと興味があることがあればすぐに飛びついたりするものですが、少しずつ我慢とか待つことを覚えるようになるのがこの時期です。

1歳半頃を過ぎると、赤ちゃんはハイハイからつかまり立ちをし始め、歩き出します。

また、少しずつですが会話をして、他者とコミュニケーションを取れるようになってきます。

同時に、食事や排せつなどのトレーニングを受けるようになっていきます。

親からのしつけを受ける中で、失敗を繰り返しながらも、少しずつ成功する体験を重ねることで、自分でできるようになるといった感覚を得ることができるようになり、それが「自律性」の成長につながってきます。

しかし、親があまりにも手をかけすぎて、子どもが失敗しないように世話をしてしまうと、子どもは自分でやってみようという気持ちになれません。

親が厳しすぎて失敗するたびに叱り続けたら、「自分はどうせできないや」などといった「」の気持ちを抱くようになるでしょう。

子どもが成長する中で、自分の欲求を優先したくなる気持ちを抑えて、課題に取り組んだり勉強したりするために「自律性」は欠かせません。

また、人間関係においても、自分がやりたいことをやり続けるのではなく、相手の気持ちを尊重するためにも大切になります。

親としては、手伝えばすぐにできてしまうようなことであっても、子どもが自分できるようになるまで繰り返し教えたり、こちらがあえて手伝わずに見守ったりしなければならず、親自身にも我慢や忍耐が必要になります。

放任しすぎず、過干渉しすぎず、程よいかかわりを持って接することが大切です。

ゆう

相談室では,極端なかかわりをする親をたくさん見てきました。放任しすぎも,過干渉であることも,どちらも子どもの発達に悪影響となります。

乳児後期

幼児後期

【幼児後期】
3歳~5歳
【発達課題と心理社会的危機】
積極性 対 罪悪感

この時期になると、子どもは「積極性」を身に付けていくことが期待されます。

子どもは、自律性を身に付けると、次第にいろんなことに好奇心や関心を持つようになり、「積極性」が高まっていき、様々なことに自発的に取り組むようになっていきます。

そして、家族だけでなく、保育園や幼稚園などの友達と遊ぶことも増えるようになって、人間関係が広がっていき、ますますいろいろなことに取り組むようになっていきます。

ゆう

相談室では,極端なかかわりをする親をたくさん見てきました。放任しすぎも,過干渉であることも,どちらも子どもの発達親が,子どもの積極性を尊重して,子どもがやりたいことを自由にさせてあげることが理想的です。

その反面に厳しく子どもの振る舞いを注意して制限してしまうと,子どもは「やりたいことをするのは悪いことだ」とか「知りたいことを知ろうとすることは悪いことだ」などと考えて「罪悪感」を抱くようになります。

親は,できる限り,子どもがやりたい気持ちを尊重して,少し離れたところから見守るといった立場をとることが望まれます

もちろん,自分や他人を傷つけるような行為は止めなければなりませんし,公共の場での振る舞い方を身に付けさせることは親の務めです。

私も,子どもが友達を叩いたり,道路に飛び出したりしたときには,厳しく叱って繰り返さないように注意しました。

その一方で,例えば子どもが外遊びで泥んこになったり,のりでべたべたになってしまったときには,心の中では「服が汚れるからやめて」と思いつつも,むしろ汚れるまで楽しんだことを一緒に喜ぶようにしていました。

児童期

児童期

【児童期】
5歳~12歳
【発達課題と心理社会的危機】
勤勉性 対 劣等感

この時期になると、子どもは「勤勉性」の獲得が課題になります。

勤勉性とは、周囲や社会から期待されるような課題や活動に対して、自主的・継続的に取り組むことを意味します。

学童期は、大部分が小学生の時期になりますが、小学校ではたくさんの授業や課題があり、それについて取り組むことが求められます。

また、自分一人で取り組むだけではなく、学校の友達と協力して委員会活動とか係活動などに取り組むこともあり、自分の役割を自分の責任で取り組まなければなりません。

一つ一つ取り組んでいく中で、自分に自信をつけることができるようになり、その結果自分には課題をやり遂げるだけ能力があることに気付きます。

ゆう

これによって「勤勉性」が育っていきます。

しかし、友達と協力して課題に取り組むといった経験が不足していると、友達は自分と比較するだけの存在になってしまいます。

すると、自分よりも優れていると感じる人の前では、自分自身に「劣等感」を意識するようになります。

自分の方が優れていると思えるような人の前では、優越感とか見下すような気持ちを抱くようになってしまいます。

この頃になると、子どもは、実際に他の子どもと比べて勉強や運動などの能力に差が見られるようになりますし、コミュニケーション能力によっては人間関係を上手に築ける子とそうでない子が見られるようになります。

親としては、子どもの得意なこととか好きなことを見付けてあげて、それを伸ばすような働きかけをしながら、苦手なことにも粘り強く取り組んで少しずつでも克服できるようにすることで、友達と比較するのではなく、互いを認め合って、一緒に高め合うことができるように支援したいです。

青年期

青年期

【青年期】
12歳~18歳
【発達課題と心理社会的危機】
アイデンティティー 対 アイデンティティー拡散

この時期では、「アイデンティティ」の確立が課題になります。

アイデンティティの確立とは、「自分が自分であること」、「自分以外の他者とは異なる存在であること」について、自分自身をきちんと定義できるようになることです。

ゆう

「アイデンティティ」とか「モラトリアム」という言葉を聞いたことはありますか?どちらも青年期の課題で重要なワードです。

青年期になると、第二次成長に伴って、身体が急激に変化します。

身長が急に伸びるだけではなく、男の子なら男の子らしく、女の子なら女の子らしく体が変化していきます。

身体が急に変化するというのは、自分自身が急に変わるということであり、心理的に大きな不安や戸惑いが起きやすくなります。

また、これまで親への依存関係から少しずつ離れていき、家族以外の他者、例えば友達とか恋人などと関係を深めていく時期です。

進路の問題とか人生観とか価値観とか、自分自身の一生について決定するようないろいろな問題に直面する時期でもあります。

青年は、自分で決定することを求められて、自分で決断していかなければなりません。

こうした経験を通じて、「アイデンティティ」を確立していきます。

しかし、こうした重要な課題を乗り越えるのは簡単なことではありません。

いくつかの選択肢で迷うことは誰にでもありますが、それが長引いて続いているような状態を「モラトリアム」と言います。

これは選択肢を選ぶために、一生懸命に努力していて、その決定のために努力している状態です。

「自分とは何者か」という問いの答えを見つけるために、モラトリアムの青年は自分探しの旅に出ることがあります。

他方、自分の目標と親の目標が一致していて、さほど目の前の問題に悩まないままでいる状態を「早期完了」と言います。

一見、アイデンティティ確立のように見えますが、選択肢を決定するための努力などは経験していません。

また、自分の人生について責任を持った主体的な選択ができないままで途方に暮れている状態で、自分に自信を持てずに自己嫌悪を抱くようになる状態を「アイデンティティ拡散」と言います。

乳児期から児童期までの課題を乗り越えていないと、アイデンティティを確立することは難しくなります。

ゆう

親は,早期から子どもが発達段階の課題を乗り越えることができるように支援・助言していくことが大切です。

その上で,子どもが青年期に差し掛かったら,子どもが自分が何者かということに悩んでいる間,干渉しすぎずに少し離れたところから,必要な支援を必要な程度行うように心がけましょう。

成人前期

成人前期

【成人前期】
18歳~40歳
【発達課題と心理社会的危機】
親密性 対 孤立

この時期では、「親密性」が課題になります。

人は成人になると、社会に出てひとり立ちして、他者と親密な関係を結ぶことができるようになります。

人によっては、恋愛をしたり結婚をしたりする時期でもあります。

「親密性」を育むためには、青年期にアイデンティティを確立できたかどうかが重要になってきます。

自分のアイデンティティが確立できていれば、友人や恋人、配偶者などと、情緒的に結び付いた深い関係を続けることができるようになります。

一方で、自己が確立できていない場合には、他者と表面的なかかわりにとどまってしまいがちで、「孤独」につながっていく可能性があります。

ゆう

この時期は,子育て中の親世代の課題であるとも言えます。

成人後期

成人後期

【成人後期】
40歳~65歳
【発達課題と心理社会的危機】
生殖性(世代性) 対 停滞性

この時期では、「生殖性(世代性)」が課題になります。

成人後期になると、子育てが一段落して、少しずつ自分の時間を持つことができるようになり、自分で新しい習い事を始めたり、新しい人間関係を広げたりする余裕ができるようになります。

また、自分の子どもに赤ちゃんが生まれて、孫ができれば、次の世帯とかかわることができるようになり、生き生きと生活ができるようになります。

それにより、「生殖性(世代性)」が育まれていきます。

しかし、自分で新しいことを始めずにこれまでと同じことしかしなかったり、次の世代とのつながりが持てなかったりすると、「停滞」という状況に陥ることになります。

また、次の世代に何を残すか考えた生き方ができなければ、次の「老年期」で、自分が存在した意味が見いだせなくなる恐れが生じます。

ゆう

私はまさにこの発達段階に差し掛かっています。次の世代に何が残せるか、残りの人生どのように生きるか、いろいろと考え始めています。

老年期

老年期

【老年期】
65歳以上
【発達課題と心理社会的危機】
統合 対 絶望

この時期は、「統合」が課題となります。

多くの人が仕事を退職し、子育ても終えて、老後の生活が始まる頃です、

これまでの人生を振り返り、自分は意味のある人生を歩んでこれたのか、次の世代に何か残すことができたのか考えるようになり,自分の人生の意味を見いだします。

ゆう

これが自分の人生に対する「統合」です。

もちろん自分の思うような完璧な人生を送ることができる人はいません。

それでも「自分の人生はいろいろあったけど、満足できるものだったな」などと受け入れられれば良いのです。

しかし、自分の人生を振り返って、自分の人生に意義を見いだせなくなると、老いや死を受け入れられなくなり、「絶望」に陥ります。

もちろん、現代では子供を作らなかったり、結婚をしなかったりする人も増えていて、次の世代に何かを残すということはなかなか難しいかもしれません。

成人後期までの発達課題を乗り越えた上で、自分の人生に意味を持つことができるように意識して人生を送っていくことが望ましいでしょう。

まとめ

今回は、エリクソンの「発達段階理論」について紹介しました。

子どもの発達を段階に分けて考えることで、その段階の子どもの気持ちがどのような気持ちになりやすいのか、どのように援助すればよいのかということが分かりようになります。

子育て中の方は、「乳児期」から「青年期」までを中心に覚えていただければ十分です。

余裕があれば、自分のこととして「成人前期」以降も知識として知っておきましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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