発達障害の子どもに「自分のこと」を伝えるタイミングや注意点を解説!

発達障害の子どもに自分の特徴を伝えるタイミング

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今回の記事では、

子どもに発達障害があることを伝えるタイミングや注意点

について詳しく説明していきます。

子どもが小さい頃にADHDや自閉スペクトラム症などの発達障害の診断が出されたとき、親はその診断に戸惑ってしまうでしょう。

そうしたとき、多くの親が診断名について、子どもに伝えることはせず、そのまま子どもは自分がどのような診断が付いているのか知らずに育っていきます。

いずれは子どもに伝えなければなりませんが、タイミングや伝え方を誤ると、子どもが傷つくことになりかねませんし、自分の障害を受け入れにくくなってしまうかもしれません。

そこで、今回は、

  • 子どもにどのように発達障害を伝えるか悩んでいる!
  • 子どもに発達障害を伝えるタイミングを知りたい!
  • 発達障害を伝えるときの注意点を教えて!

といった疑問や悩みに答えていきます。

お子さんに発達障害の診断があり、どのように伝えるか、いつ伝えるか悩んでいる方はぜひ最後まで目を通してください。

ゆう

この記事では発達障害を伝える基本的な考え方をご紹介します。最終的には、主治医の先生としっかりと話し合うことが大切です。

なお、この記事は、精神科医である吉田知子先生の「自閉症・アスペルガー症候群「自分のこと」のおしえ方」を参考にしています。

目次

子どもに発達障害を伝えることの意味

子どもが楽しく遊ぶ

子どもに発達障害の診断を伝える目的は、子ども自身が自分の長所や短所を知り、自分の特徴を誰よりも深く理解して、周りの協力を得ながら前向きに生活をしてほしいという意味があります。

発達障害のある子どもは、小さい頃から友達と同じように行動できないとか、自分なりに頑張っても上手くできず、周囲から叱られたり怒られたりすることが少なくありません。

こうしたことが繰り返されると、「二次障害」と呼ばれる状態となり、社会生活に不適応感を強めることになりかねません。

発達障害の診断を子どもに伝えるのは、悪い知らせを伝えるのではなく、自分がうまくできなかったのはなぜなのか、これからどうすれば自分らしく、周囲とうまくやれるのかと言うことを理解してほしい気持ちが込められています。

そして、これまでとは異なる視点で自分を受け止められるようになってほしいと言う意味もあります。

ゆう

「二次障害」については、次の記事を参考にしてください。

望ましい発達障害の捉え方

望ましい発達障害の捉え方についてです。

そもそも、発達障害というだけで、多くの方が否定的な評価をしがちです。

例えば、「自分の興味ばかりに関心が向いて、他者と協力ができない」とか、「じっとしていられないので、周りに迷惑をかける」といった感じです。

つまり、多くの親や学校の先生などの大人たちが、発達障害を「欠陥モデル」として捉えてしまっているのです。

しかし、実際はどうでしょうか?

強みと弱みは表裏一体です。

「自分の興味ばかりに関心が向く」については、他者と協力ができないという点については良くないかもしれませんが、言い換えれば「自分の興味のあることには集中ができる」とか、「その興味に関する知識やスキルは人よりも何倍も優れている」と言えます。

「じっとしていられない」であれば、「新しいことにチャレンジできる」とか、「すぐに気持ちを切り替えられる」といったように長所に変えることもできます。

ゆう

長所は弱点にもなりますが、弱点は裏を返せば長所になります。

発達障害の伝え方と注意点

母子

発達障害を子どもにどのように伝えたら良いのか説明します。

また、子どもに伝えるときに気を付けてほしいことをピックアップします。

診断名だけでなく特徴も伝える

1つ目は、診断名だけでなく特徴も伝えることです。

診断名を伝えるのは大切なことですが、それがどのような特徴があるのかを説明しなければ、子どもを傷つけるだけになってしまいます。

診断名そのものは最後に理解してもらえれば良いのであって、できるだけ特徴を丁寧に伝えるように心掛けましょう。

できるだけ伝える情報を絞る

2つ目は、できるだけ伝える情報を絞ることです。

その子の発達障害の特徴を丁寧に伝えようとしても、子どもは情報量が多すぎると受け取るのが困難になってしまいます。

特に、緊張によるコミュニケーション能力の低下が著しい自閉スペクトラム症の子どもでは、この点への配慮が特に重要です。

子どもへの説明は、必要であれば何回でも後から追加することもできます。

今、子どもが受け取れる情報量を見極めて、伝えるべき内容を厳選することを心掛けましょう。

ゆう

伝える情報を準備する大人が不安だと、説明が長くくどくどとなってしまいがちです。

その子の発達障害の症状の全てを解説する必要はない

3つ目は、その子の発達障害の症状の全てを解説する必要はないことです。

発達障害は、子どもによって特徴や症状はかなり異なります。

そのため、「ADHD」とか「自閉スペクトラム症」などについて説明しようとするとき、その障害の症状を網羅して説明する必要は全くありません。

子ども自身が「なるほど自分にぴったり当てはまる」と思える症状だけを説明すれば十分です。

必ず長所の確認から始める

4つ目は、必ず長所の確認から始めることです。

みんなと同じようにできないことがあることや自分のしくじりには気付いていても、自分の長所をわかっていないことがよくあります。

自分の手柄をしつこく自慢する子どもの中には、そうすることで普段の失敗を打ち消したいと願っている自信のない子も多くいます。

何度も言いますが、発達障害は欠陥ではありません。

実際に多くの長所があるので、そのメッセージを子どもに伝えるためにも、診断名の説明は長所の確認から始めましょう。

その際、短所も伝えることになると思いますが、短所や苦手なことよりもたくさんの長所を伝えることがポイントです。

親自身も、子どもの特徴を長所として捉え直すことのできるきっかけにもなります。

長所のサンプル(自閉スペクトラム症)
  • 見て気づくのが得意(特に、興味や関心のあるもの)
  • 見て覚えるのが得意
  • 好きなことはよく覚える
  • 好きなことにはとても集中できる
  • 知的な好奇心が強い
  • みんなが思い付かないことを思いつく
  • 自分の決めたことは、やり抜く強さがある
  • 目標を達成したい気持ちが強い
  • 理屈を教えてもらえれば納得できる
  • ルールはきちんと守りたい
  • いい意味でマイペース
  • グループ学習より、一人の方が集中できる
長所のサンプル文(自閉スペクトラム症)
  • 活動性が高い
  • 次々に新しいことを始められる
  • ずっと行動していられる
  • 気持ちの切り替えが早い
  • ムードメーカー
  • 自己主張ができる
  • 考えたことをすぐに行動に移せる

困難は子どもの立場に立って伝える

5つ目は、困難は子どもの立場に立って伝えることです。

発達障害の特徴で短所を伝えるときには、子どもの苦手なところを反省させるために行うわけではありません。

子どもの苦しさやつらさを共有して、前向きな気持ちに方向付けるために行うのです。

苦手なところを伝えるときは、できるだけ子どもの立場に立った表現を心掛けましょう。

「何をいっているのかわからないことがある」→「言いたいことがうまく言えなくて困ることがある。」

「じっとしていられなくて周囲に迷惑をかける」→「じっとしていたいのに体が動いてしまって困ることがあり、友達に申し訳ない気持ちになりやすい。」

子どもに発達障害を伝えるタイミング

子ども同士の会話

子どもに発達障害を伝えるのは、どのくらいの年齢で行うことが良いのでしょうか。

低年齢であればあるほどいいとか、いじめに遭っているときなどに、困難を手掛かりに自分の診断名に向き合わせるのがいいなどと、さまざまな主張があります。

あるいは、思春期には伝えるべきではないので、それまでに教えなければならないという専門家もいます。

実際には、ケースバイケースであり、子どもによってよく考えてタイミングを見計らっていくことになります。

自分はみんなと違っているようだと気付いたとき

自分は周りのみんなと違っているようだと子どもが気づき始めた時期は説明のタイミングの一つです。

そうなる前に伝えることが良いという考え方もありますが、自分自身の特徴についての気づきがなければ、素直に受け入れにくいものです。

子どもによっては、低年齢で気付く子もいれば、小学校の通う中で気づく子どももいるでしょう。

子どもの様子をよく見て、自分の気付きが見られたときにタイミングを見計らって伝えましょう。

なお、4、5歳になると、自分の日課や利用先が他の子どもと違っていることに気付いて、大人に質問してくる子どもがいます。

親は、こうしたときに慌ててしまいがちで、うまく伝えることができないことがほとんどです。

ゆう

慌てず、落ち着いて、主治医とよく話して確認しましょう。

子どもの理解力が身に付いたとき

発達障害を理解するためには、一定程度の言語理解力が必要です。

伝わる説明をするためには、子どもの実用上の理解力を判断する必要があります。

自分と周りとの特別な違いについて気付き始める年齢や、診断名を理解できるようになる年齢は一律ではありませんが、8歳以降という年齢が一つの目安になります。

発達段階を考慮する

発達心理学では、子どもの成長について、いくつかの発達段階があると考えています。

具体的には次のような発達段階が、子どもに発達障害を伝えるタイミングになりえます。

  • 学童期:周りの同年代の子どもとの違いに気付き始める。
  • 思春期:学業や交友関係につまづき自尊心が低下する。
  • 青年期:進学や就職など適性に沿った進路選択に悩む。
  • 成人期:職場での対人関係や仕事が思うようにいかない。

なお、発達段階として有名なものとしては、エリクソンの「発達段階理論」という考え方があります。詳しくは次の記事を参考にしてください。

子どもに発達障害を伝えることの効果

子どもに発達障害を伝えることの効果について説明していきます。

具体的には、次の5点があります。

伝えることの効果
  1. 安堵し、罪悪感から解放される
  2. なぜ社会適応の技術を学ぶ必要あるのかを、正しく説明する
  3. 自己否定感への回避に役立つ
  4. 自己の存在に関わる秘密がなくなる
  5. 子どもと親・専門家のより強固なチームが形成される
ゆう

一つずつ見ていきましょう。

安堵し、罪悪感から解放される

発達障害の診断名を知ることは、「自分だけではなかった」「自分のせいではなかった」と知ることを意味します。

自分と周囲との違いに悩み、孤立感を抱いていた発達障害のある子どもにとって、自分と同じような考え方や感じ方をする仲間がいると知ることは、大きな安堵感をもたらします。

そして、周囲との違いや数々の失敗は自分の「努力不足」や「異常さ」のせいではないかと怯えていた子どもたちは、そうした罪悪感や恐怖から解放されます。

なぜ社会適応の技術を学ぶ必要あるのかを、正しく説明する

発達障害について医学的な説明を伝えることができれば、特別な工夫をしたり特別支援教育を利用するのは、「誤った存在」だから行動を正されるのではなく、少数派だから技術を学ぶのだと、子どもに伝えることができます。

子どもに、必要な支援を活用することが恥ずかしいことではないということを実感させることもできます。

子どもも支援を求めやすくなり、周囲の大人が支援をしやすくなります。

自己否定感への回避に役立つ

日常生活で適応するための技術を身に付けても、自分が「普通でない」と感じて自己否定感を強めてしまう子どもがいます。

自己否定感を強めている子どもは、一見行動が安定しているように見えても、その場にそぐわないいら立ちや不安の強さが見られます。

大人からの説明によって、何のために努力をするのかを子どもが正しく知ることは、自己否定感を回避するために役立ちます。

自己の存在に関わる秘密がなくなる

発達障害の診断名に気づいていなくても、大人が何かを伏せていることに気付いている子どもは少なくありません。

大人が隠さなくてはいけないような何かが自分にはあるという認識は、自分には何か悪いものがあるという否定的な自己像につながりやすいです。

診断名を説明することで、自己の存在に関わる秘密がなくなることで、こうした危険を回避することができます。

同時に、大人にとっても、隠すべき秘密が解消することは、診断名を子どもに気付かれてしまわないかという心配から親が解放されるということも意味します。

この心理的負担の軽減は、毎日の生活を共にする親にとっては大きいものです。

子どもと親・専門家のより強固なチームが形成される

診断名を伝えられることの衝撃の度合いは、子どもの状況によって大きく異なりますが、どの親子にとっても重大なイベントであることは間違いありません。

その作業に関わった大人は、子どもにとって特別な存在になります。

自分の不思議を解き明かしてくれた人、他にも仲間がいることを教えてくれた人、困っていることについて知識やヒントをくれた人などがいます。

発達障害の診断名を伝えるという共同作業を通じて、子どもと親・専門家はより強固なチームを組むことができます。

おすすめのオンラインカウンセリング

自分のことや家族のことでお悩みの方は、一度オンラインカウンセリングを検討してみてはいかがでしょうか?

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【URARAKA(ウララカ)】

まとめ

今回は、子どもに発達障害があることを伝えるタイミングや注意点について説明しました。

発達障害の診断を子どもに伝えることはとても気を遣うことですが、適切に伝えることができれば、家族の絆が強まり、家族が協力して課題に取り組み、乗り越えることができるようになります。

ご相談やご質問がある場合は、お気軽にお問い合わせまでご連絡ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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