「WISC-Ⅳ」の解釈講座!WISCで最重要な「積木模様」と「行列推理」の解釈を詳しく説明!

WISC-Ⅳ積木模様と行列推理の解釈

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今回の記事では、

WISC-Ⅳで重要な下位検査

について詳しく説明していきます。

お子さんが知能検査を受けたとき、一番気になるのはIQの数値ではないでしょうか?

その数値によって、知的障害などの診断、発達や学習などの支援につながる可能性があるため当然のことだと思います。

しかし、IQ値というのは、これまで育ってきた家庭環境や教育環境に大きく影響されるものであって、その子の生まれ持った能力を図っているわけではありません。

ゆう

勘違いしている人は多いですよね。

たとえIQ値が低かったとしても、その子の生まれ持った能力が高ければ、環境を整えて適切に教育をしていくとIQが上がっていく可能性が十分にあります。

そこで、今回は、

  • IQ値に影響を与える要因を知りたい!
  • WISC-Ⅳで最重要な下位検査とは?
  • IQ値よりも積木模様や行列推理が高いときの解釈は?

といった疑問や悩みに答えていきます。

お子さんの知能検査の結果がお手元にある方は、検査用紙を開きながら、この記事をお読みください!

目次

WISC-Ⅳの構成(4つの指標と15の下位検査)

WISC4の4つの指標と15の下位検査

まず、WISC-Ⅳについて詳しくない方のために、WISC-Ⅳについて簡単に説明します。

WISC-Ⅳは、5歳0月から16歳11月までの子どもを対象とした個別知能検査です。

10の基本検査と5つの補助検査の合計15の下位検査があり、その結果からいわゆるIQ値としての「全検査IQ」と4つの指標の結果を得ることができます。

次が、合計5つの指標と15の下位検査の組み合わせになります。

5つの指標と15の下位検査

全検査IQ(その子の知能の全体を表す数値)
言語理解:類似単語理解、知識、語の推理
知覚推理:積木模様絵の概念行列推理、絵の完成、パズル、バランス
ワーキングメモリ:数唱語音整列、算数
処理速度:符号記号探し、絵の抹消

太字が10の基本の下位検査です。

結果の数字の読み方としては、5つの指標の点数の平均は100、15の下位検査の点数の平均は10ですので、それよりも高いか低いかを見ていくことになります。

IQ値に影響を与える要因

試験を受ける男の子

では、IQ値に影響を与える要因について説明していきます。

WISC-Ⅳを始めとした知能検査では、「IQ(intelligence quotient)」の数値を調べることができますが、そのIQ値に影響を与える要因をご存じでしょうか?

答えは、

「生まれ持った能力(資質)」と「生まれ育った環境

の二つです。

では、資質と環境では、どちらの方がIQ値の結果に影響を与えるでしょうか?

答えは、

環境

になります。

意外と思う方が多いかもしれません。

当然、生まれ持った能力はIQ値に関係しているのですが、実はそれ以上に生まれ育った環境の方がIQに大きな影響を与えていると考えられています。

豊田秀樹らは、中学時・高校時の双子の知能について、異なる環境で育った場合において比較的差が大きくなることを示しています(「縦断的な知能検査データの行動遺伝分析」教育心理学研究,2004)

ゆう

「資質:環境=1:9」と主張する研究者もいます。

例えば、有名大学を出ていて裕福な生活をしている両親のもとで生まれた子どもは、生まれ持った能力(資質)に加えて、養育環境や教育環境が整っているからIQが高くなりやすい傾向があります。

その一方で、いくら資質が良くても、養育環境や教育環境が整っていないとIQ値は上がりません。

ちょっと非現実的な話をしますが、もしもその子が幼少期に親から見捨てられて、その後山奥で口のきけない人にまるで野生児のように育てられたとしたらどうでしょうか?

その子が10歳くらいになったときにWISC-Ⅳを実施したら、おそらく同年代の子どもに比べてIQ値は非常に低くなるでしょう。

なぜならWISC-Ⅳは、積木やパズルなどの直感でできるような検査だけでなく、言葉を使ったり、鉛筆で記号を書いたりするような検査もあるからです。

ここからは、IQ値に影響を与える環境的な要因として、①「幼少期の養育環境」、②「教育環境」についてそれぞれ説明していきます。

幼少期の養育環境

家庭環境が安定していて、親子の愛着が形成されていれば、子どもは安心して様々な学習や経験をすることができます。

小さい頃から様々なものに興味や関心を抱き、その都度親などから言葉を介してたくさんのやり取りを行う中で、知的好奇心が刺激されていきます。

ゆう

そのような子どもは,全体的にIQ値は上がる傾向があります。

一方、幼少期に身体的虐待やネグレクトを受けて養護施設に保護されるような子どもは、発達障害(特に、注意欠如多動症)と類似した症状(多動性、衝動性、不注意)を表すことがあります。

そのような子どもは、長時間の検査の取り組みに支障をきたしてしまいがちで、全検査IQの低下につながります。

また、下位検査においては「理解」が上がりやすく、「絵画配列」が下がりやすい傾向が指摘されています(清水優美ら 2013 「社会的養護状況にある低年齢児における知的特性」日本心理臨床学会第32回秋季大会発表論文集)。

理解

日常的な問題の解決や社会的なルールについて身に付いているかどうかを確認する検査。

絵画配列

社会的な文脈(ある場面がその後どのように展開していくのか想像する力)や、時間的な順序性(出来事が原因から結果の順番に流れていくことを推理する力)が身に付いているかどうか確認する検査。

おそらく、養護施設に保護されるという経験や状況の中で、知識としては「やっていいこととやってはいけないこと」は教えられて理解しているものの、そうした知識を実際の生活場面で生かすことができず、場面に適した行動を取ることができにくいことが原因であると考えられています。

教育環境

WISC-Ⅳには、「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリ」「処理速度」の4つの指標があり、それぞれいくつかの下位検査があります。

その中でも、「言語理解」は、教育環境の影響を大きく受けます。

「言語理解」につながる下位検査は、「類似」、「単語」、「理解」の3つですが、これらは学校生活において義務教育を受けて身に付ける知識がたくさん含まれています。

ゆう

国語、算数、社会、理科の知識を問うような問題があります。

つまり、学校にきちんと登校して学習をきちんと受けていたかどうかが、IQ値に影響を与えるということです。

また、「処理速度」を算出するための下位検査である「符号」は、目で見た記号を素早く誤りなく鉛筆で書き写すという検査です。

これについても先生が黒板に書いた字を素早く自分のノートに書き写すという経験などを積んでいるかどうかが影響します。

WISC-Ⅳで重要な2つの下位検査

WISC4で重要な下位検査

ここまでIQ値は、生まれ持った能力だけでなくて、子どもが育ってきた環境が大きく影響を受けることを確認しました。

そのような中で、養育環境や教育環境の影響を比較的受けずに、その子の本来の力を調べることができる下位検査が二つあります。

それは、

積木模様」と「行列推理

の2つです。

この二つが、全検査IQと相関が高くなっています(日本版WICS-Ⅳ理論・解釈マニュアル)。

ゆう

どちらの検査も、生まれ育った環境の影響を受けにくい課題です。

それぞれ課題の内容を確認していきましょう。

積木模様

「積木模様」は,WISC-Ⅳに限らず,様々な知能検査で採用されています。

積木模様

積木又はカードで提示されたモデルを見て、決められた数の積木を用いて、同じ模様を制限時間内に作成させる検査。

「積木模様」は、子どもが育った環境で身に付けるような知識を必要としない下位検査の一つと言われています。

IQとの相関が一番高く、その人の本来の知能を予測する下位検査です。

ゆう

積木模様は、WISC-Ⅳで一番初めに実施する下位検査です。積木模様がよくできていると、その後の検査もできるだろうと想像できます。

WISC4で使用する積み木
画像はイメージ(実際のWISC-Ⅳで用いる積木とは異なります。)

行列推理

「行列推理」は、WISC-ⅣやWAIS-Ⅳなど、ウェクスラー式個別知能検査で採用されている下位検査です。

行列推理

一部分が空欄になっている図版を見て、その空欄に当てはまる図版をいくつかの選択肢から選ぶという検査。

「行列推理」も「積木模様」と同様に、子どもが育った環境で身に付けるような知識を必要としない下位検査の一つです。

IQとの相関が高めであり、積木模様に次いで、その人の本来の知能を予測する下位検査です。

WISC4の行列推理の例
画像はイメージ(実際のWISC-Ⅳで用いる問題とは異なります)
ゆう

上の図は私が作成したイメージです。正解は「1」です。

積木模様や行列推理が高かったときの解釈

最後に、IQ値と2つの下位検査の関係性について説明していきます。

先ほども説明したとおり、積木模様と行列推理は、その子の本来の力を図っていると考えられています。

そのため、積木模様と行列推理が高いにもかかわらず、IQ値が低いということは、生まれ育った環境において、その子が期待される能力が十分に育たなかったと解釈できます。

そうした子どもは、その後の教育方法や働き掛け方を工夫することによって、知的能力の底上げを図ることができます。

もちろん、子どもによっては、「積木模様が高くて、行列推理が低い」とかその逆といった結果の場合もあり、結果の読み方は簡単ではありません。

知能検査の結果を正しく読み取るのは、精神科医や心理の専門家に任せてしまいましょう。

親として自分の子どもの本来の力を知っておくためには、今後は「積木模様」と「行列推理」に注目してください。

ゆう

しっかりと訓練を受けた心理士であれば正確に知能検査の結果を読み解くことができます。

作業所などには、幼少期に知的障害などと判定されて、それに合わせて福祉支援を受けて育てられてきた人がいます。もしもその人の積木模様や行列推理の数値が高い場合、働き掛けによっては知的能力は大きく変化する可能性があります。

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ゆう

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まとめ

今回は、WISC-Ⅳで重要な下位検査として「積木模様」と「行列推理」について説明してきました。

もしも知能検査の結果でIQ値が低かったとしても、積木模様と行列推理に着目していただき、もしもそれらが高かったときには、その子の本来の力が伸びていないだけかもしれないと考えて、教育方法や働き掛けの方法を工夫してみてください。

その子の可能性が広がります!

なお、WISC-Ⅳについて詳しく書いた記事がありますので、参考にしてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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