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「少年法の目的」を分かりやすく解説|少年法の厳罰化は必要か?

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こんにちは。心理士の「ゆう」です。

この記事では、

少年法の目的

について詳しく説明します。

もしも子どもが非行や問題行動に及び、それによって被害を起こしてしまうと少年法の枠組みで取り扱われることになります。

ところで、少年法はどんな法律か知っていますか?

ママさん

悪いことをした子どもを守るようなイメージがあります。

ゆう

そういう方が結構いらっしゃいますが、本来は違うのですよ!

他にも、「もっと厳罰化が必要だ。」とか「少年法は廃止した方がいい!」といった意見をよく耳にします。

被害者の気持ちを考えると、こうした意見があることはよく分かります。

同時に、少年法の本来の「目的」を知らないことが、こうした意見につながっていると心配しています。

そこで、今回は、

  • 少年法の理念とは何か?
  • 少年法の目的を教えて!
  • 少年法は誰のためにあるの?

といった疑問や悩みに答えていきます。

特に、子どもの問題行動にお悩みの方にとっては、いざというときに役に立つ知識になります。

なお、少年法がどのような法律かを簡単に説明した記事がありますので、併せてお読みください。

目次

少年法の理念

少年法の理念

少年法の目的に入る前に、少年法はどのような理念に基づいて作られた法律なのかを確認しておきましょう。

少年法は、次の二つの理念に基づいて作られています。

  • 福祉的理念
  • 司法的理念
ゆう

それぞれ説明していきます。

福祉的理念

一つ目が「福祉的理念」です。

福祉的理念のことを「パレンス・パトリエ(国親思想)」とも言います。

このパレンス・パトリエとは、生みの親や保護者がいなかったり、いたとしても適切な保護を受けられていない子どもたちに対して、国が親や保護者に代わって子どもを保護して教育するという考え方です。

この理念に基づくと、悪いことをした子どもについては、親や保護者が適切なしつけや教育を行うことができていないことが問題であり、その子を国が代わって保護して教育することが望ましいと判断することになります。

この観点に立つと、少年法は福祉的・教育的な色彩が強いということができます。

司法的理念

二つ目が「司法的理念」です。

この司法的理念は、大人であっても、子どもであっても、法令に触れる行為に及んだ場合には、どのような処分にするにしても、きちんとした刑事手続きを経なければならないという考え方です。

この理念に基づくと、悪いことをした子どもについて、いくら福祉的・教育的な働き掛けをするにしても、法律による適切な手続きや判断を行わなければならないということになります。

この観点に立つと、少年法は司法保障的色彩が強く、法の解釈や運用にあたって厳格性が要求されます。

二つの理念の調和

この二つの理念のどちらかが強すぎた場合でも、子どもの人権を侵害することになってしまいます。

もしも福祉的理念が強い場合、悪いことをした子どもがいたときに、親に保護能力がないと判断して、国が子どもを強引に保護することができてしまいます。

もしも司法的理念が強い場合、子どもであっても大人と同じような司法手続きを経ることが適切だという考えから、厳格な手続きや処遇を行うことになってしまいます。

少年法は、福祉的理念と司法的理念の調和とバランスが大切であると言われています。

この二つの理念の調和を踏まえた上で、少年法の目的に移りましょう。

少年法の目的をわかりやすく説明

少年法の目的

では、少年法の目的について説明していきます。

少年法の目的は、少年法第1条に記載されているので確認しましょう。

この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。

少年法第1条

ここに書かれているとおり、少年法の「目的」は明確です。

つまり「少年の健全な育成」です。

「健全な育成」とは、再非行を防止するため、子どもの人格を成長させ、非行性を除去し、社会生活に適応させるための働き掛け全般を指します。

この目的を達成するために、二つの「手段」が明記されています。

  • 非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うこと
  • 少年の刑事事件について特別の措置を講ずること
ゆう

それぞれ見ていきましょう。

保護処分を行うこと

保護処分は、非行のある少年に対して、その性格の矯正や環境の調整を目的として行われる少年法上の主要な中心的処分です。

保護処分の種類は、次の3つがあります。

保護処分の種類

保護観察
児童自立支援施設又は児童養護施設送致
少年院送致

今回は詳しくは説明しませんが、「保護観察」は社会内で保護観察官や保護司の指導を受けるもの、「児童自立支援施設又は児童養護施設送致」は主に18歳未満の子どもが施設に収容されて教育や指導を受けるもの、「少年院送致」は少年院に収容されて矯正教育を受けるものです。

これらの保護処分は、子どもを更生させて、社会で安定した生活を送ることができるようにするために行われるものです。

つまり、保護処分は、子どもの健全育成という目的を達成するための手段と言えます。

少年の刑事事件について特別の措置を講ずること

少年の刑事事件の説明の前に、少年法の位置づけについて少しだけ確認します。

刑法と刑事訴訟法が日本の刑事法の一般法とされていますが、少年法はその特別法として位置づけされています。

ゆう

特別法は、一般法より優先されることになっています。

つまり、子どもが犯罪や非行に及んで逮捕された場合、基本的には刑法や刑事訴訟法の規定に沿って手続きが進められますが、少年法に記載があるものについてはそれを特別に優先するということです。

さて、ここからが本題ですが、少年の刑事事件とは、主に、①逮捕から家庭裁判所に送致されるまでの間と、②審判結果で検察官送致となった後の二つの段階を指します。

①の例として、「勾留に関する特別の措置」があります。

14以上20歳未満の子どもが事件を起こして逮捕された場合、大人であればいくつかの要件があれば勾留することができますが、子どもを勾留するときには同じ要件があることに加えて「やむを得ない場合」に限られるとされています。

②の例としては、「死刑の緩和」があります。

犯行時18歳に満たない者の刑について、死刑については無期刑に減刑することとしています(少年法第51条第1項)。

こうした特別の措置を執る理由は、子どもが犯罪や非行に及んだとしても、それは精神的に未熟なことが原因の一つであって、その後の教育や指導によって改善する可能性が高いと考えられているからです。

つまり、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることは、少年の健全育成という目的を達成するための手段と言えます。

なお、2022年の少年法の改正により、18歳19歳は「特定少年」として扱われ、刑事事件における特別の措置を執ることが除外される項目も出てきました。

詳しくは次の記事をご覧ください。

少年法は誰のためにあるのか

子どもたちを見守る親

少年法は、子どもの健全育成を目的としていることを確認してきました。

ここまで読んでも、少年法は、加害に及んだ子どもを守る法律であるように見えるかもしれません。

しかし、そうした子どもを適切な手続きを経て、きちんと保護して教育することにより、社会に適応できるように立ち直らせて、再非行を防止することが重要なのです。

なぜなら、子どもの再非行を防止するということは、その子どもによって引き起こされるかもしれない次の被害を防ぐことで、一般市民を守ることができるからです。

つまり、少年法は悪いことをした子どものためだけではなく、私たち国民一人一人のために存在すると言えます。

まとめ

今回の記事では、少年法の目的について解説してきました。

少年法は、子どもを非行から立ち直らせ、社会で健全な生活を送ることができるようにさせるための法律です。

もしも自分の子どもが非行や問題行動に及んでしまったときでも、子どもの改善のために頼りになる法律があるということを理解しておきましょう。

ご相談やご質問がある場合は、気軽にお問合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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